金沢市の中心部を流れる浅野川に架かる浅野川大橋界隈は、藩政期から明治、大正、昭和へと移り変わってきた各時代のまちなみや文化、工芸など、金沢固有の歴史的重層性を色濃く残すエリアである。
登録有形文化財に指定されたコンクリートと石造りの三連アーチの浅野川大橋と、その上下流に架かる木製高欄の梅の橋と中の橋の間では、毎年百万石祭りの前夜に、加賀友禅灯篭流しが行われ、今では季節の風物詩となっている。
その背後にある、ひがし茶屋街と主計町茶屋街は重要伝統的建造物群保存地区に選定され、繊細な紅殻格子の家並みが軒を連ね、藩政時代の面影を今に伝えている。このうち浅野川に面した主計町茶屋街では、近年、料理料亭が増え、夜の帳が下りる頃酔い客の楽しげな声が川面を揺らしている。
このほか近くには、文豪・泉鏡花記念館や徳田秋聲記念館、金沢の三櫓と呼ばれた火の見櫓のモニュメントが建つ橋場緑地や緑水苑、金沢城下の防衛のために築かれた惣構跡を復元した東内惣構跡見学所、卯辰山麓寺院群などがある。
また卯辰山には泉鏡花や徳田秋聲の句碑をはじめとする文学碑など、70以上もの記念碑が点在しており、文学散歩や史跡、町屋や寺院群などの歴史的建造物めぐりなど、それぞれのテーマに沿った街歩きが楽しめる。
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